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特許侵害訴訟|具体的な流れや必要な事前準備など

特許侵害訴訟とは、具体的にどのような流れで行われるのでしょうか。
特許侵害訴訟においてはその専門性などから、通常の民事訴訟とは異なった手続きが採用されている箇所があります。
以下、特許侵害訴訟の流れについて詳しく解説していきたいと思います。

 

■特許侵害訴訟の流れ


●訴状送達
特許侵害訴訟は他の訴訟と同じく、まずは被告への訴状送達から始まります。
これによって訴訟係属が完了し、審理に入っていくことになります。
この際特徴的なのは、特許訴訟においては提訴先が東京地裁および大阪地裁に限られているということです。
そして、審理は専門部である知的財産部が行うことになります。
特許訴訟では他の訴訟とは違った専門知識が必要となるため、このような制度がとられています。

 

●侵害論の審理
特許訴訟においては、「侵害論」と「損害論」二つに分けた審理(二段階審理方式)が行われることが大きな特徴です。
まず、先に行われる侵害論の審理について見ていきましょう。

侵害論の審理では、特許権の侵害があったかどうかに重点を置いた審理が行われます。
ここで侵害がなかったという心証を裁判所が抱くと、侵害による損害もあり得ないため請求は棄却されることになります。

この際原告は、①特許権を有すること②被告に特許発明の実施行為があること③権利侵害があることの3つを主張立証しなければなりません。

これに対抗して、被告の側から原告の特許権が無効である旨などの抗弁が提出されることもあります。
このような攻撃防御が行われる中、裁判所はそれらについて審理をし、侵害の有無を判断することになります。

 

●損害論の審理
侵害が認められた場合には、続けて損害論の審理が開始されます。
ここでは特許権侵害によって生じた損害の発生およびその金額の審理が行われます。
また、特許侵害について差止の仮処分の申し立てがあった場合には、その審理も同一の裁判体によって行われます。

損害額の算定は、被告から提出される売上額などの資料を参照した上、その数値に基づいて行うことが一般的です。
もっとも、元々損害額の立証責任は原告にある上、被告の側に満足な資料がない場合もありますから、原告の側でも可能な限り資料を集めることが必要です。

侵害論と損害論の審理期日の配分は、およそ5:3となるのが一般的と考えられています。
もっとも、事案によっては審理に多大な時間を要するものも少なくないため、実際の配分や期間にはばらつきがあるのが実際のところです。

 

●判決の確定
侵害論・損害論の審理が終了すると、判決が下されて訴訟が終了することになります。
もっとも、特許訴訟においては損害額の算定が困難である、資料提出を避けたいなど様々な理由から、一般の民事訴訟と同じく和解により訴訟が終了することも少なくありません。

 

■必要な事前準備
特許権侵害訴訟においては、提起前の事前準備が重要な役割を果たします。
原告としては訴訟の提起により自身の請求が認められないだけでなく、特許が無効と判断されてしまうリスクもあるからです。
一方、被告としても敗訴すれば販売の差止や賠償金の支払などをすることになるため、入念な準備の上で訴訟に臨むことになります。

 

●原告側の準備
原告としては、まず被告の製品が本当に自分の特許権を侵害しているのか、特許発明と見比べて判断する必要があります。
ほかにも問題となる特許権が本当に有効なものかどうかを確かめることも重要です。

また、侵害があったからといって直ちに訴訟を提起するのではなく、まずは警告書を送付して相手方に侵害行為をやめるよう促すことを検討する方法も考えられます。
そのような手段も考慮に入れながら、訴訟提起をするか否か決めることになります。

 

●被告側の準備
まず、原告の製品に係る特許を自分が侵害しているかどうか、また原告の主張する特許権が有効なものかどうかを調査します。

加えて、相手方からあらかじめ警告があった場合には、事業規模によっては訴訟で争わずに事業の中止をする方が良い場合もありますので、その検討を行うことも考えられます。

そして最終的には、被告としては大きく分けて以下の3つからどれか1つの方針を定め、相手方の主張に対応していくことになります。


①訴訟において、侵害がないことや特許の無効を主張する
②問題となっている実施行為を中止する
③製品の構成を一部変更することで特許権との抵触を防ぐ

 

このように、特許侵害訴訟の流れは特殊かつ複雑です。そのため事前に弁護士への相談をお勧めしています。

 

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当事務所は、東京都渋谷区、目黒区、新宿区、千代田区、港区、世田谷区、大田区、文京区、品川区、中央区、埼玉県、神奈川県、千葉県を中心に、大阪エリアの皆様からのご相談を広く承っております。
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髙﨑 仁弁護士
髙﨑 仁Jin Takasaki

私は日本の法律事務所での弁護士業務だけではなく、米国の法律事務所でも経験を積み、事務所を開設いたしました。

特許に関する訴訟やトラブル、企業法務は専門的な知識だけではなく、多数の現場経験が必要不可欠です。

皆様のお力になれるよう最適な解決策のご提案に努めておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

所属団体

  • 第一東京弁護士会所属

経歴

  • 1993年

    東京大学法学部卒業

  • 1995年

    第一東京弁護士会弁護士登録(47期)
    西村総合法律事務所(現西村あさひ法律事務所)入所

  • 1998年

    兼子・岩松法律事務所に移籍

  • 2003年

    米国ニューヨーク大学ロースクールLL.M(法学・修士号取得)
    米国ニューヨーク州司法試験合格
    米国法律事務所(Andrews Kurth L.L.P)(テキサス州ダラス)においてアソシエイトとして勤務

  • 2005年

    新保法律事務所に移籍

  • 2011年

    新保・髙﨑法律事務所(パートナー)

  • 2017年

    増田パートナーズ法律事務所参加(パートナー)

  • 2019年

    髙﨑法律事務所開設

著書

  • 知的財産権辞典/共著・三省堂 (2001年)
  • コンサイス法律学用語辞典/共著・三省堂 (2003年)

その他

  • 日本債券信用銀行内部調査委員会副委員長補佐(1999年1月)
  • 東邦生命相互保険会社内部調査委員会委員長補佐(1999年6月)
  • 大正生命保険株式会社内部調査委員会委員長補佐(2000年10月)
  • ワシ興産株式会社、ワシマイヤー株式会社および
    アサヒオプティカルの会社更生管財人代理(2012年11月)
  • 日本知的財産協会講師
  • Asialaw Leading Lawyer 2018 in Intellectual Property

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髙﨑 仁弁護士