特許侵害予防調査とは?どんな場合に必要?

■特許侵害予防調査とは
特許侵害予防調査とは、自社が製品を作ったり、販売したりする行為(実施行為)が、他社の特許権侵害にあたらないかをあらかじめ調査、発見することを指します。
この調査を行うことで、後になって他社から特許権侵害を主張されてしまうことを避けることが可能なので、製品開発の際にはこの調査が大切になってきます。

 

■特許侵害予防調査の流れ
●実施態様の確定
侵害予防調査を開始するにあたっては、他社特許の請求の範囲と自社の実施行為の内容を比較して抵触の有無を確認する必要があるため、まずは自社の実施行為の内容を特定する必要があります。

 

●技術要素の解析
特許侵害予防調査においては、製品全体のみならず製品を構成するそれぞれの要素について侵害の有無を調べる必要があります。
そのため、調査対象を技術要素のレベルに分解し、それぞれについて解析することが必要になります。

もっとも、他社から特許保証付きで購入した要素や、公知技術にあたり他社の特許権が及ばない要素については、調査を行わなくてもよいことになります。

しかし、どの要素について調査が必要であるかを自己判断することは難しいです。
そのため、事前に相談および打ち合わせを精細に行うことが肝要になります。

 

●調査計画書の作成
実施態様の確定、技術要素の解析が終わると、調査計画書を作成することになります。
これまでの過程で得た情報をもとに、調査の目的や範囲を決定し、それに則った形で計画を立てます。
計画書が作成できたら、いよいよ実際の調査に入ることになります。

 

●スクリーニング・クレーム精査
計画書にある母集団について、まずは大まかなスクリーニングを行います。
これによって、明らかに自社のものと抵触しない特許を排除し、精査が必要な特許に絞った調査をすることができます。
スクリーニングが終わったら、詳細な調査が必要だと判断されたものについて、クレーム(特許請求の範囲)の精査を行うことになります。

 

●調査報告書の作成
調査が終了したら、特許権侵害になり得る公報について、書面の形にまとめて報告を行います。
この書面は、自社製品がどのような特許権を侵害しそうか、あるいは他社の特許権を何ら侵害しないものかといった事項の証明書になります。
したがって、他社から特許保証を求められればこれを提出することになります。

 

■どんな場合に必要?


●新製品の開発時
新製品を開発した場合、これが他社の特許に抵触しないか調べ、製品の提供をすることが可能か確かめる必要があります。
これは特許侵害予防調査が利用されるもっとも代表的なケースということができます。

また、製品に至らない発明があった場合にも、あらかじめその発明について調査を行うことで、将来安心して製品化を行うことができるようにすることもあります。

 

●特許保証を求められた時
他社に製品や部品等を提供する際に、それが他社の特許権を侵害しないことの保証を求められることがあります。
このような時には特許侵害予防調査が必要になります。

この場合、調査結果をまとめた調査報告書を相手方に提供することで、特許保証を示していくことになります。

 

●新規事業に参入する時
新たな事業に参入しようと思った際、参入先の事業にいる会社が取得している特許により、新規事業への参入が思ったようにできないことも考えられます。
そのため、新規事業に参入する前にもあらかじめ他社の特許について調べる必要が生じ、予防調査が行われます。

 

以上のように、特許侵害予防調査を行うか否か、また行う場合にどの範囲で行うかについての判断には複雑な問題が関わってくるので、まずは弁護士への相談をお勧めしています。

 

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髙﨑 仁弁護士
髙﨑 仁Jin Takasaki

私は日本の法律事務所での弁護士業務だけではなく、米国の法律事務所でも経験を積み、事務所を開設いたしました。

特許に関する訴訟やトラブル、企業法務は専門的な知識だけではなく、多数の現場経験が必要不可欠です。

皆様のお力になれるよう最適な解決策のご提案に努めておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

所属団体

  • 第一東京弁護士会所属

経歴

  • 1993年

    東京大学法学部卒業

  • 1995年

    第一東京弁護士会弁護士登録(47期)
    西村総合法律事務所(現西村あさひ法律事務所)入所

  • 1998年

    兼子・岩松法律事務所に移籍

  • 2003年

    米国ニューヨーク大学ロースクールLL.M(法学・修士号取得)
    米国ニューヨーク州司法試験合格
    米国法律事務所(Andrews Kurth L.L.P)(テキサス州ダラス)においてアソシエイトとして勤務

  • 2005年

    新保法律事務所に移籍

  • 2011年

    新保・髙﨑法律事務所(パートナー)

  • 2017年

    増田パートナーズ法律事務所参加(パートナー)

  • 2019年

    髙﨑法律事務所開設

著書

  • 知的財産権辞典/共著・三省堂 (2001年)
  • コンサイス法律学用語辞典/共著・三省堂 (2003年)

その他

  • 日本債券信用銀行内部調査委員会副委員長補佐(1999年1月)
  • 東邦生命相互保険会社内部調査委員会委員長補佐(1999年6月)
  • 大正生命保険株式会社内部調査委員会委員長補佐(2000年10月)
  • ワシ興産株式会社、ワシマイヤー株式会社および
    アサヒオプティカルの会社更生管財人代理(2012年11月)
  • 日本知的財産協会講師
  • Asialaw Leading Lawyer 2018 in Intellectual Property

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髙﨑 仁弁護士